車が事故により大破、もしくは「修復歴あり」と認定されてしまった場合、
- 事故車でも買い取ってもらえるだろうか?
- 走行不能だと買取価格は付かないだろうな
結論から言いますと、事故車でも買取を依頼する先によっては買取価格がつくこともあります。
この記事ではそんなお悩みを解決するために、以下の内容を記載しています。
- 修復歴の有無により買取額が違う理由
- 事故車の買取相場
- 破損の度合いによるオススメの買取依頼先
事故車を高く買い取ってもらうためには、どこの買取先に依頼するかが重要です。
この記事で詳しく解説しているので、読み終わったときには事故車の状態によって適切な買取依頼先が選択できるでしょう。
目次
事故車の買取相場は修復歴車に認定されることで大幅に下がる
事故車を買取に出そうとする際、修復歴の有無で査定額は大きく変わります。
修復歴は「一般社団法人 自動車公正取引協議会」の規約によって定められていて、その規定に該当する事故車は「修復歴あり」として扱わなければならないからです。
「修復歴あり」となった場合、損傷の程度によっても変動しますが、その買取価格は大幅に下がります。
損傷の程度が軽い場合は、修復歴なし車の買取価格から20%~30%引かれた価格と考えてよいでしょう。(例:修復歴なしで50万円の場合、修復歴ありだと35~40万円)
ただし損傷が重度で、修理費用が車両本体価格に近づくほど、大きく値下がりしていきます。
また中古車販売を例にしても、修復歴「あり」と「なし」で、販売価格が大きく違っていることが分かります。
例えばトヨタ・ヴォクシー(同じグレード)で、年式2016年・走行距離3万キロ台の場合、その販売価格は修復歴無しで179万円、軽度の修復歴がある場合で133万円で差は46万円もありその影響は大きいです。
修復歴車に認定される事故車の特徴はフレーム部分の交換・修理の有無
事故は、状況により大小あります。
修復歴に当たるかどうかが決まる要素となるのは、その事故時の損傷部位です。
自動車公正競争規約では、以下の部位に交換・修理が発生した場合、「修復歴あり」と認定されます。
- フレーム(サイドメンバー)
- クロスメンバー
- フロントインサイドパネル
- ピラー(フロント、センター、リヤ)
- ダッシュパネル
- ルーフパネル
- フロアパネル
- トランクフロアパネル
上記は自動車における「骨格」であり、これらをベースにエンジンなどの各部品が取り付けられています。
そしてその骨格に損傷があると、各部品が本来の性能を発揮できません。
また現代の自動車は、モノコックボディを採用しており、事故時の衝撃を車のボディ全体で吸収できるように設計されています。そのおかげで乗員を保護することができます
言い換えれば、車の前部に衝撃を受けたとしても、後部にまでその影響があるということです。
上記のことを含め、「骨格の損傷」が査定額に関わる大きな事由とされるのは、「不具合の発生原因になる」ためです。
代表的な不具合としては、「雨漏り」や「キシミ音」、「曲がる、止まるなど走行機能への悪影響」があります。
これらの不具合は修理後に出なかったとしても、走行を重ねていくうちに発生する場合があります。
つまり事故により骨格に損傷を受けた車(修復歴あり車)は、不具合発生のリスクがあり、車としての価値が下がってしまうということです。
フレーム部分の修理や交換がない場合は修復歴車に認定されない
事故による損傷がフレームに達していない場合、修復歴あり車とは認定されません。
したがってバンパーの傷やドアのへこみなどは、修復歴に関係ないです。その部分をしっかりと補修・交換してあれば、査定時に大きく減点されることはないでしょう。
ただし直していない状態では減点されるので、注意が必要です。直してから買い取ってもらったほうが良いのか、そのまま買い取ってもらったほうが良いのかは、それぞれの見積もり額を見て判断しましょう。
修理前後での買取査定額の差額より、修理費用の方が高い場合、そのまま売却したほうが、お得で手間も掛かりません。
修復歴車でも修理具合で査定額が異なる
もしもの事故の際、その状況により修復度合いが変わってきます。その修理費用に応じて、査定額も変動します。
修復歴ありで、査定額を決める時に判断される主な基準は以下です。
- エアバッグの展開の有無
- 横転のしたかどうか
- エンジンなど走行に重要な部品にまで事故の影響があるかどうか
フレームに影響が合ったときに修復歴ありと認定されますが、その奥の重要な部品にまで影響が出ている場合は、さらに査定額が下がってしまいます。
対照的にフレームのみに損傷があり、修理費用が高額にならない修復は、査定額への影響は少ないです。
多くの車では、「走る曲がる止まる」という機能が前側に集約されています。「走る=エンジン・トランスミッション」、「曲がる=ハンドル機構」、「止まる=前側はメインとなるブレーキ」という具合です。
したがって事故車では、後部を損傷するより、前部を大きく損傷した場合に高額な修理費用が発生し、査定額へ大きく影響します。
事故車(修復歴あり)の買取相場は1,000円~70,000円
大破した事故車の買取相場は普通車と軽自動車で差があります。
軽自動車の買取相場は比較的低く、数千円からとなっており、万単位の価格が付くのは新しく、人気のある車種の場合が多いです。
また自走が可能であれば、買取価格が高くなる傾向にあります。
乗用車の場合の買取相場は5万円前後となっています。こちらも年式や車種によって変動します。軽自動車よりは価格が付きやすいでしょう。
乗用車であれば、海外で活躍している車種も多いので、部品としてみると価値が付きやすいです。
事故車の買取事例1|ホンダ・ストリーム

買取価格 | 51,340円 |
年式 | 2001年 |
排気量 | 2000cc |
走行距離 | 100000km |
H13年式・10万キロ走行で、前部を破損している状態でした。ラジエーターという重要部品の破損はありましたが、エンジン本体まで損傷しているわけでは無かったため、税金と自賠責保険の還付金を含め、51,340円での買取となりました。
事故車の買取事例2|マツダ・ベリーサ

買取価格 | 39,900円 |
年式 | 2006年 |
排気量 | 1500cc |
走行距離 | 120000km |
H18年式・12万キロ走行のマツダ車。右前方を破損し、フロントバンパーが取れてしまっていました。
右側足周りパーツに損傷の可能性はありますが、税金と自賠責保険の還付金を含め、39,900円で買い取りました。
事故車の買取事例3|トヨタ・エスティマ

買取価格 | 87,000円 |
年式 | 2003年 |
排気量 | 2400cc |
走行距離 | 140000km |
こちらはH15年式で、14万キロ走行。右横のフロント側にへこみ等の損傷はありましたが、人気車種のため買取価格は87,000円となりました。
事故車の買取依頼先は破損具合によって異なる
以下のように、事故車の買取先はお車の破損の程度によって決めたほうが良いです。
- 走行不能なほど大きな損傷を受けた事故車は廃車買取業者へ
- フレームの損傷が軽度の場合は、中古車買取業者へ
- 修理せず乗り換えを検討している方は、新車購入店へ
それぞれの業者の特徴について知っておけば、最適な買取先が見つかります。
それでは見ていきましょう。
フレームやエンジン部分の破損で修理費用が高額になる場合は廃車買取業者に依頼する
破損具合が大きく、エンジンが使い物にならない場合などは、修理に多額の費用と時間を要します。
また全損など、走行不可能な損傷の場合は廃車買取業者へ依頼しましょう。
その理由としては、廃車買取業者は自社で解体工場を持っていることが多く、使えるパーツを事故車から取り出して販売するノウハウを持っているためです。
また、海外に販路を持っている業者もあり、事故車は海外でも高値で取引できるために、事故車の高額買取に対応してくれます。
中古車・廃車の買取を専門で行っている廃車本舗へお問い合わせ下さい。面倒な廃車手続きを代行させて頂きます。お電話の場合は0120-788-100 まで。メールで愛車の査定を希望される方はこちらから。廃車予定の事故車などが思わぬ高額買取となる場合もあります!
フレーム部分の故障のみで修理費用が安く済む場合は中古車買取に依頼する
フレームの軽度な修正など、修理費用が安く済む場合は、中古車買取業者に依頼しましょう。
- 高年式車
- 走行距離の少ない車
- 修復部分以外の状態が良い人気車種
- 新車購入から数ヶ月で故障した車
これらの場合は高値をつけてくれる可能性があります。走行機能に問題ない場合は車としての価値があるからです。
修理の度合いや買取店舗、もしくは査定士によって買取価格が変動しやすいので、複数の業者で見てもらうことをオススメします。
また車を購入した店舗や、車検などメンテナンスを依頼していた店舗でも中古車買取をしている場合、相談してみるのも一つの手です。
お世話になった店舗は、車の状態やメンテナンス状況を把握していることが多いので、大手よりも高値が付く場合があります。顔見知りだと気軽に聞けるのも良い点ですね。
乗り換えを予定している場合はディーラーに下取りを依頼する
修復歴ありと認定された車の乗り換えを検討する際、ディーラーで下取りに出す方法もあります。
ただ、事故車は安く見積もられたり、引取費用を取られる場合があるので、あまりオススメできません。
したがって乗り換えを検討するときは、車の処分と購入とで分けて考え、それぞれ得意な業者に対応してもらったほうが賢いです。
事故車を買取相場よりも高く売るコツ
ここでは「事故車の買取価格をアップさせるコツ」を、2つご紹介します。
事故歴がない車と同じように事故車の買取先を選ぶと、相場か、もしくはそれ以下の価格しかつけてもらえないでしょう。
事故車の状態に適した業者を選ぶことが、高く売るために重要です。
破損具合にあった買取方法を選ぶ
事故車の買取を依頼する際には、破損具合に合わせた買取方法を選びましょう。
例えば、修復歴有りと認識されていないような車では、中古車買取を依頼した方が高額買取が期待できますが、廃車として買取を依頼する場合は買取価格が低くなる可能性があります。
逆に大破した事故車は廃車買取を依頼すれば高額買取が期待できますが、ディーラーだと引取費用を取られる場合があります。
このように車の破損状況に合わせなければ安く見積もられる場合があります。少しでも高く買い取ってもらいたい、という場合は破損状況に合わせた買取方法を選びましょう。
海外に販路を持っている買取業者を選ぶ
日本車は質が良く、壊れにくいために海外では人気のブランドです。つまり海外に「需要」があるということです。
そこに販売ルートをもっている業者は、事故でボロボロになっている状態の車でも、買取価格を高く付けてくれる可能性が高いです。
とはいえ、海外に販路を持っていなくとも、事故車の買取実績が豊富な業者に依頼しても高額買取が期待できます。あくまでも一つの指標として理解しておきましょう。
事故車の買取を依頼する際の2つの注意点
ここからは事故車の買取を依頼する際の2つの注意点について解説します。
- 修復歴を隠さず申告する
- 買取前に自動車税が査定額に入っているかチェックする
修復歴を隠さずに申告する
事故により、「修復歴あり」と認定される部分について修理した車を買取に出すときは、必ず申告するようにしましょう。
一度目の査定で事故歴が見つからなかった場合でも、業者は買い取ったあと売るために整備をすることがほとんどです。その際に修復歴が発見されると、契約した後でも「減額請求」される可能性があります。
これは不動産売買と同様で、車の売買に適用される法律があるためです。買取側を守るためのものなので、修復歴は減点ポイントだからといって隠さず、正直に伝えておきましょう。
また修復歴と同様に、走行するための重要なパーツに大きな異常が発生しているにもかかわらず、申告していない場合も該当します。
例えば、「走った後に焦げた匂いがする」や「走行中に異音がする」、また「加速異常」などです。買取の際、査定士が試乗することはほぼ無いため、これらの症状は大抵の場合、後になって気づきます。
売買後、無駄な手間が掛からないように、車の状態についてもしっかり申告しておきましょう。
買取前に自動車税が査定額に入っているかチェックする
乗用車の場合、車の売却時に自動車税が入っているか確認しましょう。
提示された金額は車両本体価格のみなのか、それとも自動車税の還付金に代わるものとしてそれを含めた金額(還付相当額)が上乗せされているのか、明細を確認することをオススメします。
自動車税の還付相当額は、車を買取に出す月によって変動します。その年に収めた全額が戻ってくるわけではありません。
例として、9月に売却した場合、収めた自動車税を月割りで計算したあと、10月~翌年3月までの6ヶ月を掛けた金額が、還付金相当額として上乗せされます。
したがって3月に買い取ってもらう場合は、適用されません。詳しくは買取りに出す業者の方に、問い合わせてください。
注意点として軽自動車に関しては、年税なので還付はありません。
自動車重量税に関しては永久抹消登録、つまり廃車にした場合、還付される仕組みです。買取には関係ないので勘違いしないようにしましょう。
まとめ:事故車の買取相場は事故のない車より安くなる
事故車を買い取ってもらう場合、その損傷部位による「修復歴の有無」が重要なポイントとなります。
その修復歴は、規約で定められたフレームに修理・交換が発生した場合、認定されます。
認定された場合、査定額は破損度合いに応じて、大幅に下がっていくでしょう。
愛車の年式が古くなり、走行距離も伸びてきて、さらに事故により大破した場合、中古車買取や新車購入店の下取りで価格が付くことは期待できません。
事故にあった愛車の中から「まだ使える部品」を探し出し、そして活かしてくれるのは「廃車買取業者」です。
大破して自走もできない車は、廃車買取業者に査定を依頼しましょう。